【完】向こう側の白鳥。
菜子ちゃんは、ノートの最後のページを開く。
どうやらこのノートは、もう使い切ったヤツらしい。
「これ……。」
菜子ちゃんにノートを手渡され、私は目を見開いた。
ノートの最後のページ
……そこに描かれていたのは。
中庭で煙草を吸う、沢渡先輩の姿。
「……これも、偶然。三時四十五分ではないけれど、思わず描いちゃった。」
絵の中の沢渡先輩は、中庭のベンチで体を寝かせていて。
片方の手には火のついた煙草、もう片方には煙草ケース。
雲に覆われた空を少し切なそうに見ていて、何かに思い更けているようにも見える。