【完】向こう側の白鳥。
「じゃあ、また明日ね! 柚子ちゃん!」
「うん、また明日。」
学校方面へ走り去って行く、菜子ちゃんの後ろ姿。
それを見てまた少し、胸の痛みを感じる。
「……俊二のこと、話せなかった……。」
一昨日、あれから一ノ宮先輩に会いに行こうと先輩の家付近にいたとき、たまたま出会ってしまった。
私とお姉ちゃん、菜子ちゃんと時貴くん……そして、もう一人の幼なじみ……。
新間俊二に。
俊二は昔から乱暴な奴だった。
乱暴って言っても、誰かに暴力を奮うとか、警察沙汰に巻き込まれるとかじゃなくて。
ただ少し口が悪くて、人への気遣いが苦手なだけ。