【完】向こう側の白鳥。








それでも私達には優しかった。


特に、私とお姉ちゃんには。



きっと理由は、私とお姉ちゃんには父親がいないから。


俊二には、母親がいなかった。




似たような境遇のせいか、俊二とは話も合って仲が良かった。





私とお姉ちゃんの、初恋の人。





始めは私が好きになった。



六年生、十二歳のとき。


お姉ちゃん達は十六歳、高校一年生。


間にある四歳の差。





無駄だと分かっていても止められなくて。



私が中学一年生になったとき、この平沢高校の前で俊二を待ち伏せした。




そこで俊二に伝えた、想いを。


私の、精一杯の恋心を。



私なりに、一生懸命伝えた。








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