【完】向こう側の白鳥。
「……オレはさ、一ノ宮紫苑……アイツが大嫌いなんだよ!! 殴りてえんだ!」
「…………。」
「だけどアイツさ。いくら殴っても弄っても、ちっとも泣かねえ、顔色も変えねえ。腹立つんだよ。」
足音が近付いた気がして、体の痛みでつぶっていた目を恐る恐る開く。
霞む視界に、靴が見えた。
黒色のローファー……。
「あれ……この靴……。」
「だからさ!!」
「ぁがっ……!」
急に首を捕まれ、そのまま体を持ち上げられる。
結果的に首が絞まって、私は宙に浮いた状態。
「……こうやってお前を傷つければ、お前を愛す紫苑は顔色を変えるかなって。」