【完】向こう側の白鳥。
話してほしい、全部。
「俊二が私のことを好きだったって、本当……?」
私を除いたその場の全員が、ハッと空気を飲んだと思う。
特に一ノ宮先輩と俊二。
一ノ宮先輩はキッと俊二を睨んで。
俊二はキッと康稀さんを睨んだ。
「康稀……お前、話したな……。」
「いやあー……ははは……。これでもおれ、負い目感じててさ……。」
二年も前の話なんて、全部きちんと覚えているわけがない。
だけど、何となく思い出した。
私が俊二に告白して、俊二が周りのみんなからかわれた。
その時、俊二をからかった中には康稀さんもいた。
康稀さんの言う“負い目”とは、このことなのかな。