【完】向こう側の白鳥。
side 新間俊二
今にも崩れそうな顔でオレを見る、初恋のアイツ。
白鳥柚子。
二年前まで、オレが付き合っていた梅芽の妹。
四年前まで、オレが好きだった奴。
「私は、俊二が好きだった……。初恋、だった。」
四年前と変わらない泣き顔。
コイツの涙は嫌いだ、胸が苦しくなるから。
「俊二も、同じ気持ちだったの……?」
…………。
「……好き、だったよ。」
好きだった。
幼なじみじゃない、一人の女として。
「お前を好いていた!」
ずっと、柚子を。
柚子だけを。
……四年前までは。