【完】向こう側の白鳥。
「……お姉ちゃんは一ノ宮先輩を恨むような人じゃないですよ。」
「分かってる……分かってるけど、やっぱり自分が許せなかった……。」
身長は全然足らない。
だから、自分の身長で出来るだけ強く優しく、震える一ノ宮先輩を抱きしめた。
「……新間先輩を嫌っていたのも、逆恨みみたいなもの。容姿や性格については確かに理解しがたいけど。何より、あの日新間先輩が梅芽と喧嘩さえしなければ……。」
そんなの、違う。
「違うよ、先輩……。先輩も俊二も、誰もお姉ちゃんを殺してない。……だってお姉ちゃん、笑ってたよ。」
「え……?」
「どの写真の中でも。骨として焼かれる寸前までも。」
ずっとお姉ちゃんは、優雅に微笑んでいた。