【完】向こう側の白鳥。
「えぇ……っ!?」
目を見開く。
「これ、白鳥……!?」
私の視界満面に映ったのは、大きく描かれた二匹の白鳥……。
まさか、これ描いたの……。
「せんぱい、……?」
真っ白な白鳥二匹の絵の周りには、沢山の人が集まっている。
それだけ、注目を集めている絵なんだ。
人混みを掻き分けて、展示されているこの絵の説明文を読んだ。
「柚子が描きたくて……。でも、人の絵は苦手だからさ。それにどうせ人間以外を描くなら、梅芽も描こうって。」
タイトル『柚と梅』
作画『一ノ宮紫苑』
賞『最優秀賞』
大きく翼を広げた、二羽の白鳥。
一羽の白鳥の羽には梅が。
もう一羽の白鳥の羽には柚が、描かている。