【完】向こう側の白鳥。
振り向けば、つい数十分前に六限目の体育を終えて、一ノ宮先輩と一緒に階段を上って来ていた先輩だった。
一ノ宮先輩の友達が、私に何の用……?
「……お前、姉妹いるか?」
「え?」
突然にも聞かれた家族構成。
「だから、家族に姉貴がいるか聞いてんだよ。」
不審に思いながらも、私は答えた。
「四つ上に、姉が一人いますけど……。」
『いました。』じゃなくて、『います。』と答えた。
私の答えに、先輩は何だか不満そうな顔をする。
結局、何が言いたい?
曖昧なこの質問の仕方、昨日の一ノ宮先輩を思い出して腹が立つ。