【完】向こう側の白鳥。
「なんだお前、俺の名前知ってたのか。」
「いや、なんかちょっと前、幼なじみが騒いでて……。」
沢渡先輩は「ふーん。」と興味なさそうに呟き、再び煙草へと向き直る。
いい加減消さないと、煙草の煙見て先生達が飛んで来そうなのにな……。
いくら階段で見つかりにくいと言っても、私がチクる可能性もあるのに。
ていうか、私はいつまでここにいればいいんだろう?
早く部活に行きたい……。
その祈りが通じたのか、沢渡先輩は一度私を見て言った。
「もうお前に用はねえよ。」
それなら早くそう言ってほしい。
一度頭を下げて、私はその場を立ち去った。