【完】向こう側の白鳥。
私がそう言えば、菜子ちゃんは安心し喜んだかのように「うん!!」と勢いよく返事した。
いつもだけど、菜子ちゃんのおかげで注目の的。
たくさんの視線を向けられ、その視線の中には一ノ宮先輩の視線もあった。
相変わらず、何かを言いたそうに私を見る目。
ムカツク。
菜子ちゃんの隣に腰を下ろしてキャンバスを出し、この前の絵の続きを描き始める。
私が描くのは服や食べ物などの小物。
菜子ちゃんみたいに私は、風景を描くのが得意ではない。
かと言って、人物や動物の絵を描くのも得意ではない。
私が得意なのは物の絵。
特に、服や家具のデザインなど。