【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
私と一ノ宮先輩が初めて顔を合わせたのは、四月一日の入学式の日だった。
「最悪!! お母さんっ、何で起こしてくれなかったの!?」
その日、私が起きたのは八時。
リビングの机には「いってきまーす。」と、赤いハートマーク付きのメモが置いてあった。
いつ病院に向かったのかは知らないけど、起こしてくれてもいいと思う!!
鞄を持って慌てて家を飛び出し、信号を待ってる間に制服や髪を整える。
大通りの信号は青になるのが遅い。
いつもはそれで苛立つ私だけど、今日だけは感謝する。
この信号が無いと、制服や髪を整える時間が無かったから。