【完】向こう側の白鳥。








「顔色悪いけど、大丈夫?」



「……平気です。」





伸ばされた先輩の手を振り払い、小さく俯く。





思い出したくないことを思い出してしまい、気分は最悪。



一ノ宮先輩には、そんな私の心境を悟ってほしくない。





顔も見えないように俯いて、先輩が帰るのを待つ。





「……白鳥さん。」





……だけど、先輩は帰らなくて……。





「明日、予定ある?」



「予定、ですか……?」



「ん。」





明日は確か……何も無かったはず。





お母さんは明日、夕方まで帰って来れないって言ってたし。



私も暇だろうって、明日は菜子ちゃん家に行くつもりだったから。








< 65 / 390 >

この作品をシェア

pagetop