【完】向こう側の白鳥。
「顔色悪いけど、大丈夫?」
「……平気です。」
伸ばされた先輩の手を振り払い、小さく俯く。
思い出したくないことを思い出してしまい、気分は最悪。
一ノ宮先輩には、そんな私の心境を悟ってほしくない。
顔も見えないように俯いて、先輩が帰るのを待つ。
「……白鳥さん。」
……だけど、先輩は帰らなくて……。
「明日、予定ある?」
「予定、ですか……?」
「ん。」
明日は確か……何も無かったはず。
お母さんは明日、夕方まで帰って来れないって言ってたし。
私も暇だろうって、明日は菜子ちゃん家に行くつもりだったから。