【完】向こう側の白鳥。
「特に何も無いですけど……。」
せっかくのゴールデンウイークだというのに、何の予定も無い私。
少しだけ恥ずかしく思う。
「……明日、午前十時。迎えに来るから。」
「へ……?」
一ノ宮先輩はそう言って私の頭をポンポンと軽く撫で、それから元来た道を戻り始めた。
「ど、どういうことですか!? 一ノ宮先輩!!」
何となく予想はできるけど、信じられない私。
小さくなっていく先輩の背中に大声をかければ、私の声に反応して先輩が振り返る。
「デート。」
先輩はいつも通り、堂々と言葉述べた。
また歩き出して、先輩は角を曲がって見えなくなった。