【完】向こう側の白鳥。
「白鳥さん、おはよう。」
当たり前だけど、ドアの向こうで私を待っていたのは私服の一ノ宮先輩。
ファンクラブの人達さえ知らないと思われる、先輩の私服姿に胸がドキドキした。
男の人のファッションはイマイチわからない私だけど、これだけはわかる。
一ノ宮先輩は格好良い。
そして、お洒落だ。
流石、周りが騒ぐだけある。
ふと、自分の格好が先輩と釣り合ってない気がして下を向いた。
そんな私の心境なんて知らずに先輩は言う。
「私服、似合ってる。」
一ノ宮先輩に言われたくない。
先輩の方が、何倍も似合ってると言うのに。