【完】向こう側の白鳥。
てっきり映画でも見るか、ショッピングモールで買い物でもするのかと思ってたけど。
先輩は私の手を引いたままデパート街を抜け、少し静かな道へと出た。
そして先輩は、大きな建物の前で足を止める。
「ここ。」
着いた場所は、今年3月に開館されたばかりの小さな館。
“美術館”
「嘘……。」
美術館なんて、普通の人達からしたらただ絵が飾ってあるだけの、つまらないとこかも知れない。
ただ絵を鑑賞するだけの場所なんだから。
だけど絵を描いてる人からすれば、そこは宝庫。
素敵に輝く綺麗な絵がたくさん、美術館には飾られている。