【完】向こう側の白鳥。
「すごい……。」
受付の人からパンフレットをもらって、いざ入館。
あ、この美術家知ってる……。
へぇ、こんな作品も描くんだ……。
うわあ、これ綺麗……!
グラデーション上手過ぎ……。
「気に入った?」
「とても!!」
私は絵に釘付け。
長く一枚の絵を眺めることもあれば、次の絵へそそくさと足を動かしたりもする。
繋いでいた先輩の手も気にしなくなるぐらい、私は目の前の絵に夢中だった。
……そんな私を見て、一ノ宮先輩が顔を歪めてるなんてことは知らずに。
先輩がふと、私の手を強く引いた。