【完】向こう側の白鳥。
――「何が良い?」
静かだった美術館と打って変わって、ガヤガヤしてるファミレス。
正午。
私と先輩はお昼を食べに、美術館を出て来た。
「んー……私、このほうれん草のスパゲッティにします。」
「わかった。注文するよ。」
呼び鈴を押せばすぐに店員さんが来てくれて。
私はほうれん草のスパゲッティ、先輩は茸ドリアを注文した。
頼んだ食事が来るまで、私と先輩の間に会話はない。
そう思ったのに、話し掛けて来たのは一ノ宮先輩の方だった。
「美術館、楽しかった?」
「は、はい。」