【完】向こう側の白鳥。
――「先輩、今日はありがとうございました。」
午後五時。
それからは散策程度に色んなところを回って。
クレープを食べたり、公園の鳥にパンをあげたり。
その間もずっと、一ノ宮先輩は私の手を離さなかった。
骨張った細い指の手。
指は絡めてないけど、きっと第三者から見れば恋人に見えると思う。
そしてその度、思われる。
私は先輩と釣り合ってない。
可愛くもなければ、美人でもない。
服装も地味で目立たない。
性格も決して明るくない、その上ネガティブ。
……こんなとき、お姉ちゃんなら一ノ宮先輩と釣り合うのだろうな……。