【完】向こう側の白鳥。
少しだけ……、ほんの少しだけ、自惚れてしまう。
一ノ宮先輩の好きな人は、私なんじゃないかと……。
「……先輩の好きな人は、誰ですか……?」
そんな想いが溢れ出てきて、私は聞いてはいけないことを聞いた。
……途端に先輩は顔を歪めて、その顔を見てから、私は失敗したことに気づく。
「や……、やっぱり答えなくていいです……。」
わからない。
先輩がわからない。
いつも私を見ているのに。
まるで恋人のデートのような一日を過ごしたのに。
先輩はどうして、そんなにも儚げな目をするの……?