蝶は金魚と恋をする
「やっぱり、秋光さんは意地悪です~」
「意地悪は俺の趣味だ。まぁ、せいぜい負けないように頑張れよ~」
苛める気満々のセリフにムッとするも、少し喜ぶ自分がいる。
だってさ・・、これからも会えるって意味に感じる。
それがたまらなく嬉しくて。
男なんてみんなみんな恐くて苦手だったのに、秋光さんはなんか違くて。
また、会いたいと思ってしまう。
さすがの私でもその気持ちが何なのか理解出来ないほど馬鹿じゃない。
私は・・・多分・・・。
20年生きてきて初めての感情にドキドキしながら、雨の中を2人で歩いた。
傘が壊れてよかった・・・。
そう思ったのは不謹慎?
髪に留まる初めての贈り物に、くすぐったい気持で触れて存在を確認すると。
秋光さんに見られないように口元を隠して微笑んでしまった。