くたばれクリスマス
あの後、おまえの身に起きたことを知り合いに伝え聞いた。
それからおまえが運ばれてった病院に通い詰めたのも、不貞を疑われるのも覚悟で亭主と別れられるように手を貸したのも、うちの職場に呼び寄せたのだって、ただおまえを助けなかった後ろめたさを、ひとり抱える気概がなかったから。
良心の呵責に踏み潰されそうになるのが苦しくて、自分のためにおまえに親切に振る舞っただけだ。
おまえが気にしてる『いつまでもおまえの面倒ばかりみてられねえし』って言葉だって本心で言ったわけじゃない。
ただ最近、おまえに遠慮なく憎まれ口を叩いていると、まるでおまえと何でも言いたいことを言い合っていた頃に戻れたような気分になれたから。
だから俺は独り善がりに毒舌を気取って、それが許される間柄なようなフリをして、わざとおまえに辛辣な言葉なんて吐いていたんだ。
その言葉が、おまえを傷つけているとも知らずに。
だからおまえが俺にありがとうだとか、申し訳なく思うだとか、そんな必要なんてないんだ。