高校球児に女子大生が恋をした。
「ねー、あれ、ひろくんじゃない?」
「へっ…?」
「ほら、あの身長高い子!」
さっちゃんが指を指す方に確かに見覚えのあるシルエットがあった。
「声かけてきたら?」
「いや、いいよ。もう連絡もしてないし、向こう受験生だし変な刺激与えたくないし。」
「あれ?ひろくん、こっち見てない?」
確かにそのシルエットはこちらを見ていた。
「ねー!ひろってばー、何ぼーっとしてんの?
ほら、ねーっ!」
私には隣にいる女の子からそう聞こえた。
そしてその女の子はひろの後ろから抱きついた。
「…やっぱ、楽しいところを邪魔できないよ。
ほら、私たちももっと海の方行ってみようよ。」
「美羽…。」
あんなにひろは女の子と仲が良かったっけ?
ひろはあんな風に…今はもう他の女の子と。
私は急に翔に連絡したくなった。
翔の声が聞きたくてたまらない。