幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「あたしが総司の代わりにそばにいるっていうのはどうですか?」
「邪魔だ。うざったい。絶対にいらない」
せっかくの提案を、副長は機関銃のような速さで却下した。
失礼な……あたしだって総司と離れたくないけど、代わりに支えてあげなくちゃとも思っただけなのに。
頬を膨らませるあたしを見て、平助くんと総司が笑った。
「お前は猛獣使いだけしてりゃいいんだよ」
副長はそう言うと、腰を上げる。
兵の調練に、宇都宮城攻めの段取り説明など……たくさんやることがある副長は、さっさと部屋から出て行ってしまった。
猛獣使い……つまり、総司の目付役をやれってことね。
「総司が心配だから、そばにいてくれってことだよ」
平助くんが、副長の気持ちを読んだように言った。
そうなのかな。
もう、それなら素直にそう言えばいいのに。