幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
こうして、新政府軍の巻き返しに勝てず、旧幕府軍は敗走を余儀なくされた。
怪我をした副長の療養のため、あたしたちは会津に向かうことに。
副長はすぐに意識を取り戻し、足の怪我以外はどこも悪くないように見えた。
このまま回復してくれればいいんだけど……。
「会津についたら、斉藤先生に会えるよね?」
斉藤先生なら陰陽術に通じているから、呪符のことが何かわかるかも。
「ああ……あいつは相変わらず真面目にやってんだろうな」
ふっと笑ったあと、ごほごほと総司は咳き込んだ。
戦での無理がたたったのか、総司の咳はおさまることがなかった。
「会津に着いたら、副長と一緒に療養だね」
「そうだな。めんどくせえことは全部斉藤に任せておこう」
それでもあたしたちは、顔を見合わせて笑った。
今日もなんとか生きているんだから、めそめそしていたら時間がもったいない。
あたしたちは手を繋いだまま、会津への道を歩き続けた。