幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「俺たちが気に病むことは何もないって言ってくれたよ。
総司も、ゆっくり休んでくれってさ」
「そっか……副長、落ち込んでたでしょ?」
楓が俺の代わりに返事をする。
「まあ、そりゃね。でも今は、新撰組局長になったわけだし、ずっと落ち込んでもいられないってさ。
療養しながらこまごました仕事をしてるみたいだよ」
「あ……そっか。もう副長じゃなくて、局長かぁ」
楓が小さくため息をつく。
その頭を、平助が苦笑しながらなでた。
「土方さんが怪我をしてるからさ、一が代わりに新撰組を率いてがんばってるよ。
俺、そっちも心配だから、もう行くね」
平助が言うには、会津で土方さんと斉藤は再会したらしい。
土方さんは足の怪我のため、動けない。
だから代わりに斉藤が、新撰組を率いて白河に出陣することになった。
これは会津藩からの依頼。
新政府軍に宣戦布告した奥羽越列藩同盟の白河戦略……奥羽の関門・白河に敵を一歩も入れないとするもの……のためだ。