幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
土方さんや斉藤に頼もうとも思ったけど、彼らはどうやら戦を辞める気はないらしい。
もののけでも、平助なら楓を戦火から遠ざけ、楽しく暮らしてくれるだろうか。
あるいは、松本先生に引き取ってもらって、戦が落ち着いてから、新たな嫁ぎ先を探してもらうか……。
「情けねえ……」
俺はどうして、命をかけて守ると誓ったものを、何一つ守れないんだろう。
ただ、みんなで笑っていたかっただけなのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
俺が先に立って、楓の手を引いてやらなきゃいけないのに。
泣いていたら、涙をふいてやらなきゃいけないのに。
それすらできないなんて、俺はどうしてしまったんだ?
まぶたを閉じると、俺と楓の祝言のときのみんなの笑顔が自然に浮かぶ。
永倉さんや原田さん、今どうしてるかな。
平助に斉藤……ごめんな。
俺も残った幹部として、役に立たなければならないのに。