幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
総司は真剣な顔で銀月さんを見つめる。
しかし銀月さんは、怒った顔で視線を逸らした。
聞きたくないってことなのかな……。
「銀月……。今の人間の世をどう思う?」
突然話題を逸らす総司。
銀月さんは瞳だけを総司の方に動かした。
「300年続いた徳川があっさり敗れ、今や薩長が官軍だ。
徳川親藩でさえ、どんどんあっち側に寝返っている」
「……それがどうしました?」
「時代って言うのはさ、そうやってどんどん流れていくんだよ。
今は頭領の血が途絶えるのが耐え難いかもしれないけど、もののけたちもきっとすぐ、新しい頭領に慣れてくれるさ」
時代は流れて、変わっていくもの。
その言葉は哀切をはらんで聞こえた。
「ということは、あなたはこの世が薩長の世になることを確信しているのですか。
それでも、戦い続けると?」
銀月さんの反論に、総司は苦笑して首を横にふる。