幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


「まったく、頼りない頭領でしたよ。
でも、私は真っ直ぐなあなたがとても好きでした。
道を違えるのは残念ですが、どうぞお元気で」


「ああ……色々悪かった。ありがとう。お前も、ほどほどにがんばれよ」


「銀月さん、元気でね」


「楓様も。
またいつか、まみえることもありましょう。そのときまで」


もののけの中には、このままでは新政府軍や異国に好き勝手されて、自分の住処が侵略されるのではないかと危惧しているものもいる。


今まで手を貸してくれたもののけたちと、どこかの戦場で会う日が、いつか訪れるかもしれない。






あたしたちは、さようならを言わずに別れた。


銀月さんは馬を一頭用意してくれて、あたしたちはそれで会津に向かうことに。


手綱を持つ総司の体に手を回し、広い背中に顔をつける。


京で着ていた、浅葱の羽織のように、お日様のにおいはしない。


それでもあたしは、ただの『新撰組の沖田総司』に戻った彼が愛しくて、まわした腕にぎゅっと力を込めた。


もののけたちよ、元気でね。


いつか会える、その時まで……。


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