幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「それが、なかなか完全なもののけにならないので、もののけたちに愛想をつかされてしまいまして。
行くところがないので、置いてください」
「はあ!?アホか!」
笑顔でしれっと大変なことを述べる総司に、土方さんは思わず怒鳴る。
「じゃあお前、ここまでどうやって来たんだよ?」
「馬で」
「無茶しやがって!」
土方さんは総司の頭を、ぺちんと平手で打った。
「いてっ」
「行くところがねえからって、なんで会津に来るんだよ。ここはそのうち、戦火に巻き込まれるぞ。
近藤さんがいなくなって、お前にまで死なれちゃ、俺は……」
そこまで言って、土方さんは自ら口を閉じた。
みるみる頬が赤くなっていき、またぷいと顔をそらす。
やっぱり、近藤局長が亡くなったことが相当辛かったんだ……。