幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「これは……宇都宮で俺がやられた呪符か?」
「はい。平助くんから聞いていますか?近藤先生の魂を体から引きはがし、消滅させてしまったのは、これと同じ呪符なんです」
「なんだって」
土方さんは初耳だったようで、畳の上に置かれた呪符をまじまじと見つめた。
「たしかに平助は、近藤さんは忍の呪符にやられたと言っていたが……」
たぶん平助くんは、同じものかどうか、確信が持てなかったんだろう。
あたしはたまたま、いつか斉藤先生に相談しようと思って持ち歩いていて、たまに見返していたから、覚えていただけ。
そう伝えると、総司がバッとそれをひったくった。
「こんなもの持ち歩いて、お前はなんともねえのか?」
「え?うん、全然大丈夫」
「効力はなくなってるようだけど……超鈍感だから影響を受けずに済んだのか?」
むかっ。何それ、ひとを馬鹿にして。
「じゃあ、それにやられたから、土方さんはめまいがするっていうのか?」
松本先生が信じられないというような顔で、総司に問う。
「わかりませんけど……もしかしたら、影響が残っているのかもしれませんね」