幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
新しい命
翌々日まで、同盟軍の白河城への攻撃は続いた。
しかし結局、新政府軍から城を奪取すること敵わず、一度撤退してしまったらしい。
あたしは帰ってすぐに回復したけど、総司はそのまま寝込んでしまった。
「無茶した上、雨にまで打たれたからだよ」
「げほっ、げほっ……お前が丈夫すぎるんだ。
あ。そうか。バカは風邪ひかないってやつか」
「なにをぉ?」
くだらない冗談に言い返してはみるけれど、本気で喧嘩をする気にはなれない。
総司のことや土方さんのこと、戦のこと……心配事が多すぎて、気分は沈みがち。
一昨日……体調が治ってすぐ、朧が言っていたことを土方さんに相談した。
腕組みをして黙って聞いていたけど、「それが本当か、確かめようがねえな」とため息をついていた。
昔からある術ならともかく、朧が独自に編み出した術ならば、解けるのも朧だけなんだろうか。
術者の息の根を止めれば、呪術は解けるかもしれないけど。
一度同盟軍が撤退した今の会津に、あいつはまだいるだろうか?