幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「探しに行こうかな……」
でも見つけたところで、あたし一人で朧に勝てるかな。
銀月さんでさえ幻術で騙し、独自の呪術まで編み出してしまう変人め。
「しかも純血ってことは、炎の幻術まで使えるんだろうな……」
陽炎が使っていた、紫の炎の幻術。
あんなのに一人で勝てる気がしない。
「でも、あきらめちゃダメだよね!」
実験材料になりまーす♪とか言って取り入って、寝首を掻くというのはどうだ?
いや、思っていることが全部顔に出てしまうあたしじゃ無理か……。
「何一人でぶつぶつ言ってんだよ」
「わぁお!」
独り言を言いながら庭で洗濯していたら、土方さんに後ろから声をかけられた。
「総司の様子はどうだ?」
「直接見に行けばいいじゃないですか」
「今行ったら、寝ていやがった」
あたしは手についた水を手ぬぐいで拭くと、立ち上がった。
「……昨夜も少し、吐血しました。
血を飲んだら、落ち着きましたけど」
「そうか。ご苦労だったな」
土方さんは洗い桶の中の、総司の血の付いた着物に視線を落とした。