幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「土方さんは、大丈夫ですか?あたしの血が必要なときは言ってくださいね」
「ああ」
短く返事をした土方さん。
適当にうなずきはするけれど、彼はきっと、あたしに助けを求めることはしないだろう。
総司に血を与えるだけで、あたしの体にも一時的に負担がかかる。
同じだけ土方さんに血を与えたら、あたしは血が足りなくなって倒れてしまうだろう。
彼はきっと、そう思ってあたしを気遣ってくれている。
総司がずっとこの人を慕ってきた理由が、最近になってやっとわかったような気がした。
「そうだ楓。もうすぐ斉藤と平助が帰って来るぞ」
「えっ?」
まだ白河での戦いの決着がついていないのに?
「もちろん一日だけだがな。あいつなら、俺にかかった呪術をなんとかできねえかと思ってな」
「もしや、あの文にはそのことを?」
「それだけじゃねえけどな」