幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
北へ
総司はそのまま眠りについてしまい、目を覚ましたのは翌日だった。
「俺は行かねばならないが、何かあったらまた知らせてくれ」
そう言って、斉藤先生は白河口へと帰っていった。
平助くんは、一応このことを銀月さんに知らせるという。
あたしと、土方さんの肉体に魂を移植された総司は、一緒に平助くんを見送る。
「最後の頭領の血筋が絶えちゃったわけだからさ。
これで、銀月も心置きなく新しい頭領ができるだろ」
「そうだね……」
「他のもののけを納得させるためにも、この体のためにも……総司のお墓を作らなきゃね。
少し留守にするけど、すぐに帰って来るよ」
「ああ。すまねえな」
前よりも少し高くなった声で、総司はうなずいた。
近藤局長が亡くなったときに比べると、妙なくらいに落ち着いている。
平助くんは筵に包まれた総司の遺体を担ぎ、姿を消した。
「もっとちゃんとお別れしたかったな……」
賊軍となってしまった今では難しいけれど、何年も一緒にいた総司の体。
本当はちゃんとお葬式をして、埋葬するまでついていたかった。