幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「俺もだ。絶対に生き延びろよ。生きて、また会おう」
戦の中に身を置く二人だ。
また会えるなんて保証はどこにもない。
けれど、あたしも信じていたい。
きっと、またみんなに会える日が来るって。
「二人ばっかりずるい!あたしも入れてよ!」
強引に中に入って二人の手を両手で包むと、同時に苦笑された。
あたしの誠はね、総司。
あなたと共にあること。
笑われるかもしれないけれど、それだけなんだ。
見ていてね。この誠だけは、一生貫いてみせるから。
夜明け前。
斉藤先生に別れを告げたあたしたちは、会津を経った。
庄内に援軍を求めるはずが、先発隊の報告でそれが不可能だと知った総司は、会津に戻ることはなく、米沢から進路を変更。
今度は仙台藩を説得しようと、さらに北へと向かうことに。
ほぼ同時に敗走した大鳥隊も、戦力不足を理由に戦地に戻ることはなく、仙台へと向かい、合流。
仙台には、旧幕府海軍副総裁・榎本武揚氏が率いる旧幕臣たちがいた。
榎本さんと総司は仙台藩の恭順派に、新政府軍と戦うように説得を試みるが、話し合いは決裂。
あたしたちは、旧幕臣のたちの新天地を開くため、さらに北を目指していくことになったのだった。
目指すは、最果ての地、蝦夷──。