幕末オオカミ 第三部 夢想散華編

「土方さんは会津を離れたと言うし、斉藤くんは戦火の中で行方不明になり会えなかった。お前がどこにいるのかわからなくて、心配したんだぞ」


松本先生はそのタレ目に涙を浮かべ、あたしを見つめた。


斉藤先生は、行方不明なんだ……。

でもきっと、どこかで生きているよね。


「沖田くんが亡くなったんだ。もう、新撰組に残る理由はないだろう？私と共に江戸へ帰ろう」


そっか、松本先生には総司が土方さんの体と同化したって言ってなかったっけ。


いくらもののけに免疫があると言っても、さすがにそこまではついてこられないだろうと思って……。


松本先生にしたら、あたしは可哀想な未亡人の娘なんだよね。


「土方さんも、もうやめたらどうだ。
榎本さんは大した人だとは思うが、蝦夷に行って抗戦したところで、勝ち目はあるまい」


松本先生は、総司を土方さんだと思って話しかける。