幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「それがね……」
あたしは今まであったことを、槐に話す。
総司の魂が土方さんの体に入ったことを話すと、さすがに信じられないと言った顔をした。
「でも、それであんたがここにいる理由がわかったよ。
土方が実は沖田だとはねえ……」
槐は椅子から立ち上がり、一度部屋を出て行く。
戻ってきた彼女の手には、新しい風呂敷が二つあった。
「これが注文の品だよ。あんたの旦那、よっぽどあんたが大事なんだね」
槐は勝手に風呂敷を開ける。
その中から出てきたのは、新しくて小さな寸法の軍服一式と、ブーツ。
そして女物の着物に、温かそうな綿入れ、動物の毛でできたような襟巻。
「総司……」
「あんた以外に、こんな小さな軍服が必要なやつはいないよね」
そっか、これ、あたしに……。
あたしがみっともなくて寒そうな格好をしていることを、気にしてくれていたんだ……。