幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


それから2日後。


「ええと……味方に残っている三隻、回天・蟠龍・高雄で敵に近づいて……」


回転と蟠龍が攻撃しているうちに、高雄が甲鉄に接舷し、斬り込み隊を乗り移らせる……と。


「無理じゃん!!」

「もう乗っちまったんだから、そういうこと言うなよ」


大嫌いな海の上で、あたしは発狂しそうになっていた。


だって、初めて聞いた時からめちゃくちゃな作戦だと思っていたけど、さらに今夜は天気急変で、海は荒れ放題。


総司と一緒に回天に乗り込んだあたしは、転ばないように踏ん張るのが精いっぱいだった。


敵に見破られないよう、夜に外国の旗を掲げて航海して後悔、なんちゃって。


波に揺られすぎて、頭がおかしくなってきてる……。


「こんなに荒れてちゃ無理だよ!引き返そう!」

「馬鹿言うな!作戦はもう始まってるんだよ!」


そんなこと言われても。

他の乗組員たちと一緒に波の上に顔を出してみるけど、前後左右に揺さぶられるばかりで、他の2隻が見えない。



< 287 / 365 >

この作品をシェア

pagetop