幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
翌日、敵は二股口に到着。
総司の言う通り、激しい銃撃戦となった。
「撃て!弾がなくなるまで、休むんじゃねえ!」
新政府軍が函館に向かう道の周囲の高台にはりめぐらせた、堡塁や塹壕。
あたしたちはそこから、敵に向かって容赦なく発砲した。
けれど、敵も周囲を囲まれているにも関わらず、退却する気配がない。
「強行突破しようってことか。見くびられたもんだな」
敵は最新鋭の武器を持ち、応戦してくる。
夕方から始まった銃撃戦は、日が暮れても終わることがなかった。
「楓っ、数人連れて水を汲んで来い!」
二小隊を交互に休ませながら、土方軍は奮闘していた。
ちょうど休みになったあたしは、そのへんにあった桶をつかみ、近くの谷川へと水を汲みにいく。
長時間の連続使用で、焼けて熱くなった銃身を冷やすための水だ。