幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「……つうわけで、明日俺たちは新撰組を離れる」
「明日とは、また急だな」
「決めたんだ。もう、考えを改める気はねえ」
永倉先生と副長だ。
って、それより……新撰組を離れるって、どういうこと?
総司を見上げると、眉を寄せて厳しい表情をしていた。
「じゃあな。世話になった。楽しかったぜ」
そんな短い言葉のあと、すぐにふすまが開いた。
出てきたのは、やっぱり永倉先生と原田先生。
「おっと……楓に総司」
原田先生が、目を丸くしたあと、苦笑した。
「聞かれちまったか」
永倉先生は静かに襖を閉めた。
その奥に、腕を組んでうなだれる局長の顔が、一瞬見えた。
「どういうことですか」
総司が聞くと、二人はそろって苦笑した。
「聞いた通りだ。俺たちは、新撰組を離れて別の組織で戦う」
「そんな……どうして急に?」
局長の部屋の前だということも忘れて大きな声を出してしまった。
永倉先生たちは「場所を変えよう」と、お寺の庭の方へ歩き出す。