蕾 〜A bud of fate〜
階段を上る途中に俺はバイトの事を思い出した。
「なぁ、猫己。」
「にゃぁに?」
「これどう思う?」
素早く、馬鹿(花朔)が渡してきた紙を見せてみた。
「おぉ…なんかの器具いっぱいぃ…」
目を真ん丸くしながら猫己は紙を見つめる。
「いや。今回の注目点はそこじゃなくてな……それを全部盗まないとだめなんだ。」
はぁ…っと溜息をつきながら俺は呟く。
とりあえずドタキャンしてもいいよな?
どうしようか?
腹痛にしようかな?
あ、風邪気味で体調悪いとかもいいかもな。
「ねぇねぇっ。夜運にゃん。ちょっと気になったんだけど。」
「にゃに?」
俺がドタキャンする理由を試行錯誤している時に聞かれたから、びっくりして噛んで猫己みたいな喋り方になったじゃないか!
階段を上り終え、もうすぐ教室という所で立ち止まり
「まずさ…こんないっぱいの器具どうするのぉ?そんでこんないっぱい器具がある病院あったかにゃぁ?」
そして
にゃにはスルーかよ!
まぁ、それは置いといて。
猫己にしては…良いとこ突いたな。
まぁ口に出して褒めないけど。
なんか褒めたら負けた気がするし。