蕾 〜A bud of fate〜
色々と疑問は残るが、とりあえず病院に入る事にした。

今8時過ぎ。

うん。

普通さ、でかい病院って光ぐらい点いてるよな?

なんで真っ暗?

「なぁ、なんでこの病院電気点いとらんの?」


横を歩く花朔に尋ねてみた。
知るはずないけど…

「改装か、なんかするからじゃないかな?ちょっと離れた所に必要最低限の器具とスタッフを移動させたって聞いた。ちなみに昨日。親との世間話で。」

「へぇ〜、そうなんや…」

知ってるんかい。
あれ…?
この病院出来たばっか…みたいな事聞いたけど…
もう改装…?
欠陥があったのか?

ツッコミ所満載やな…。


とか考えてたら病院の入り口前に着いた。

と、後ろに居た猫己が急に俺の横を通り、入り口までもう数センチの所まで歩き、止まった。


「どうした?猫己。」

入り口前で佇む猫己に聞いてみた。

「夜運ぅ。この入り口、鍵閉まってるにゃぁ」

「そりゃあ…閉めるやろ。だからどっか裏口とか窓から入ろうや。」

と俺の言葉を聞いた猫己はチラッとこちらを見て笑うと、
「夜運ぅ。積極的に行ってみようにゃ。」

「はい…?あっ…おまっ…待…」




ガシャァァン…


猫己がやろうとしてる事をいち早く感付き、走ったが…間に合わなかった…


猫己は膝を上げ、入り口のガラス張りのドアに思いっきり前蹴りをかました。

ドアがぶっ飛んだよ…うん。

しかも、それ積極的とかいうレベル違うやん…

「お、おい猫己!何してんねん!警察とか色々来るやん!」

猫己に近付き、肩を掴んだ。

こちらを振り向いた猫己は…

「にゃははは〜♪やっちゃったにゃ!」

笑ってピースしやがった。

いやいや

「やっちゃったじゃねぇよ!おまっ…マジ捕ま「夜運君!」

上からまた花朔が…

「何やねん!」

後ろを振り向き花朔を見ると

手を握り、親指を立て
ニコッと微笑み、

「なるようになるさ☆」

「ならねぇよ!」


苛々が最大限まで貯まってきたわ。

「もうえぇわ!はよ中入るぞ!」


俺は1人、前に出るとズカズカと中に入った。
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