蕾 〜A bud of fate〜
やはり昼と夜じゃ雰囲気が違う。
夏なのに空気がひんやりとしている。
暑いはずなのに…
病院の中だけは違う世界のようだ。
若干寒気もするようで…しない。
夏だし。
てかひんやりもしてない。気のせいだった。
「んで?器具はどこあるんだ?早く探さないと警察来るぞ?」
怖いのか
若干ぷるぷるしながら歩く花朔に話しかける。
正直、花朔気持ち悪い。
「とりあえず診察室からみよう…」
「怖いのか?」
「黙らっしゃい!!」
なんか怒鳴られたから黙るわ。
てか絶対花朔怖がってるな。
自分からこの話もってきたくせに……。
黙って歩いていくと
少し先に診察室と書かれたプレートが見えてきた。
少し先ってか目の前。目の上。
「とりあえず…着いたから入るか。」
俺は診察室のドアに手をかけ
ゆっくりと開けた…はず。
あれ…
ガチャッ…ガチャッ…
「チッ……鍵かかってやがる…」
まぁ入り口にもかかってたから
かかってても仕方ないか。
「フフフフフ……」
「ぬぁっ!?」
急に背後から変な笑いが聞こえてきた。
本気で焦ったわ。
その笑いを出した主は、ドアを破壊した後、先程まで空気と化していた猫己だった。