龍蝶~闇に隠された愛~【下・完】
「あら…」
(ちょっと梨湖には早かったかな…)
いつかは梨湖に引っ越すことや沙絵子さんがしてくれたことを言わなくちゃいけない。
(…一翔…)
〝プルルッ…プルッ〝
(知らない番号……)
「はい。」
『梨華!?』
電話の主は私が最も声を聴きたかった人物だった。
「一翔!?」
聞きたいことはたくさんある…
どうして来ないのか、今どこにいるのか…。
『ごめんな、梨華。』
だけど…一翔からの〝ごめん〝ですべてがどうでもよくなっちゃたよ…。
「ッ……」
『あいつに携帯取り上げられて今公衆電話からかけてて…』
「今…どこいるの…?」
『三丁目の公園前。』
「待ってて!」
私はそう言って家を飛び出した。