龍蝶~闇に隠された愛~【下・完】
もう深夜の12時。
普通ならこんな時間に家を出るなんてできない。
だけど、沙絵子さんがいないから…
一翔に会いたいから…っ!
携帯を握りしめて走る。
「はぁはぁ…っ!」
信号で止まれば別の道で行く。
三丁目の公園が見えてきた。
公衆電話の前で立っている人を見つけた!
「っ…一翔!!」
名前を呼んだ瞬間私は一翔の胸に走った。
「梨華っ!!」
〝ギュっ……〝
久しぶりの一翔の温もり。
「っ…一翔っ…」
「ごめん。梨華…ごめんな…」
そう言って一翔は何度も私を強く抱きしめた。