生徒会長は女王様
 「いいよ、もう。
 帰りなよ。」

 「え?」

 「そろそろ仕事終わらせないとだから。」

 「え?仕事?
 どのくらいあるの?」

 「あとちょっとだよ。
 ほら、帰宅部は早く帰って。」


 会長が背中を押す。


 「え?
 でも……」

 
 バタンッと有無を言わさず閉められるドア。



 うん
 相変わらずの女王様っぷりだ。



 じゃなくて、


 
 もしかして……傷付けた?



 しばらくドアの前に立っていたけど、帰ることにした。

 

 朝、珍しく7時に起きて時間に余裕ができてしまった。

 でも俺はわざとベッドの中でごろごろしてて、8時になってようやく、起き上がった。

 のろのろと準備をする。

 家を出たのが9時くらい。

 

 やべぇ
 ちょっと遅すぎたかな?


 
 いつもはこんな時間に出てもなんとも思わないけど、今日はちょっと焦る。

 なんとなく……会長に会いたいからかもしれない。

 早歩きでほとんど散ってしまった桜並木をくぐると、いつものように校門に会長が立っていた。

 
 「おはよぉございま~す……」


 できるだけ平静を装っていつも通り挨拶する。


 「祥。」

 
 黙ったまま振り返ると、会長がいつものように笑っていた。


 「今日も来てね。」

 「うん。」


 俺もいつものように笑った……はず。

 引き攣っていたかもしれないし、ぎこちなかったかもしれない。

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