生徒会長は女王様
 生徒会室のドアの前で、軽く深呼吸。

 ノックをして、入る。

 会長が俺を見る。

 俺はいつものように会長の前の椅子に座った。

 
 「もうすぐね、1年生のテスト。」

 「あぁ……うん。」

 「憂鬱?」


 微笑みながら聞いてくる会長はいつも通りで、昨日のことを無かったことにしようとしているように思えた。

 
 「すごくね。
 手伝うよ。」

 「え?」

 「仕事。
 俺に出来そうなこと、やらせて。」

 「なんで?
 どうしたの、急に。」

 
 首を傾けながら言う会長に、心臓が高鳴る。

 
 「仕事、残ってるんならやらせて。
 やってみたい。」


 会長は、俺をまじまじと見た後、言った。

 
 「残念でした。
 今日はもう終わっちゃった。」

 「え……」

 「また今度お願いね。」

 
 結局、今日も他愛ない話をして帰ることになった。

 生徒会室を出る時、会長が帰る素振りを見せない。


 「帰らねぇの?」

 「帰るよ。
 でももう少ししてから。
 先帰ってなよ。」

 「うん……」

 
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