泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
「はぁぁ~…」

蓮唯は途端に大きなため息を付いてその場にしゃがんだ。

「え…あ、あの…?」

優は心配して蓮唯に近づく。

蓮唯は絶望した顔で優を見た。

そしていう。

「あんたの家って…そんなに家(うち)と変わんないんだ…」

「え?」

「だって、絶対あんたって貧しい家の息子で、
お母さんを助けるためにいい学校に入ったって感じの子見えたし…」

「それに、小さい子とかの面倒もみるとかバイトとで忙しい子みたいな感じに見えたしぃ…
私の妄想返せよ!!」

(なにを言い出すんだろう…)

優が困っていると雅司家から誰かが出てきた。

「優様…。そろそろお喋りはお開きにしてください。」

「佳(すぐる)…」

「佳…?」

蓮唯は立って見つめた。

「あなたが…古都凪家のご息女ですか…。」

佳はそういい礼儀正しく足を合わせる。

「お初にお目にかかります。わたくし、雅司 優様の専属執事で
雅司家当主の雅司 比奈河(ひながわ)の書記をさせていただいている
蜩 佳(ひぐらし すぐる)と申します。
以後…お見知りおきを…」

佳はそう言って優を連れて家に入った。

(は…はぁ!?)

蓮唯はその場に立ちつくて口をポカーンと開けていた。
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