泣き虫彼氏と強がり彼女。【上】
蓮唯にはたくさんの将来があったからだ。

セレブ科に行って結婚もできる。

セレブの友達がたくさんできる。

音楽専門科なんて行かなくても将来があるからだ。

「私だって最初から世界なんて行けなかったのよ?
たくさん歌ってたくさん練習して努力したの。
あなたならセレブ科に行って、
努力しなくても結婚だってできるのよ。歌手になんてならなくても…」

「お母さんは歌手に誇りを持ってないの?」

「持ってるわ。持ってるからこそあなたにはあんな血みどろな努力はして欲しくないのよ…」

美麗の怒っている顔は生まれて初めて蓮唯は見た。

もう音楽専門科にいけないと思っていた矢先助けてくれたのは蓮唯の兄弟だった。

「母さんいいんじゃない?」

「麗牙…。」

「俺もいいと思うよ。」

「麗都も…。あなたたちは芸能界に入っているからいいけど蓮唯は入ってないのよ?」

「それでも、俺は歌手だよ。母さん。」

「麗牙は元々その素質があったから…」

「何のために蓮唯の名前に麗を入れなかったと思ってるの?母さん。」

「麗都まで…。」

「お母さん。私聖ロンドリア女学園の音楽専門科に行きたい。
行かせてください。」

蓮唯はそう言う。

< 34 / 110 >

この作品をシェア

pagetop